①浜比嘉島について
勝連半島から伸びている海中道路を伊計島に向かって進むと、右手に平成9年2月に開通した浜比嘉大橋が見えます。
橋を渡ると小さな島が……それが浜比嘉島です。島に入って右側が浜集落、左側が比嘉集落となっており、゛浜比嘉塩゛は比嘉集落の南南東側の塩工房で作られています。
本島と地続きになっても集落には石垣にヒンプン、赤瓦の屋根と昔ながらの沖縄の風情が色濃く残っており、塩工房の近くには沖縄開びゃく祖神、シルミチュー霊場があり、霊場の洞穴内には鍾乳石の陰石があって、子宝の授かる霊石として崇拝され貴重な霊場となっています。
②日本の塩作りの特徴
海水には97%の水分と3%の塩分が含まれています。
海水1リットルの中に、塩は
30g程度しか含まれていません。
これを煮詰めて取り出すのでは、大変効率の悪い塩づくりになってしまいます。
「いかに少ないエネルギーで海水中の塩を取り出すか」・・・これが常に日本の塩作りの大きな課題だったのです。
海水をただ煮詰めるのではなく、「いったん濃い海水(かん水)にしてからその濃い海水を煮詰めて塩の結晶を取り出す(煎ごう)」という 効率の良い方法で塩づくりが行われてきました。
゛海水を濃縮して、それを煮詰める゛・・・という2つのプロセスからなる日本独自の製塩方法は技術的には大きな進歩を遂げていますが、原理は大昔から変わりません。100%天然の゛海水塩゛をつくるには、海水の水分を蒸発させて塩分濃度を上げ、濃度の濃い海水(鹹水・かんすい)をつくることから塩づくりは始まります。鹹水をつくることを採鹹(さいかん)といい、採鹹方法は昔ながらの製塩方法゛流下式塩田(りゅうかしきえんでん)゛を利用して製塩しています。
③なぜ、浜比嘉島で゛昔ながらの塩作り゛……!?
揚げ浜式塩田(約1200年前)や、入り浜式塩田(約500年前)など昔ながらの塩作りは人の力で砂浜に海水を撒き、砂を撹拌して、太陽と風の力で海水中の水分を蒸発させ、濃度の濃い海水を作り、煮詰めて塩作りをおこなっていました。 非常に手間がかかり、重労働で天候に左右される製塩方法ですが、自然の力を利用して作られた100%天然の海水塩は粗塩で、まろやかな味わいがあります。浜比嘉島の塩工房で製塩している゛流下式塩田゛は約40年前から行われている歴史があり、入り浜式塩田と比べて、2、5~3倍の生産効率があります。 塩工房周辺には手つかずの自然が残っており、隣接海岸には常に黒潮が流れていて、太陽と風の力を利用した塩作りは 自然豊かな浜比嘉島だからできる製塩方法なのです。
浜比嘉島フォトギャラリー
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浜比嘉大橋・入口 -
もずく漁が盛んな
浜比嘉島周辺の海域 -
流下式塩田
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シルミチュー霊場(子宝祈願) -
アマミチュー
(無病息災・子孫繁栄) -
昔ながらの風情が残る
比嘉集落